2025年4月23日・24日の2日間、つくばの理想開発センター(エクスペリエンス・センター)にてOPEN DAYが開催されました。普段目にする商業印刷や出版印刷を中心としたシステムではなく、ガーメント印刷や段ボール印刷など産業用途市場に向けた、インクジェット印刷技術を利用した機材が紹介されました。
皆さんご存じの通り、インクジェットは、印刷される基材(媒体)と非接触でイメージが形成できること、また多様なインクを利用できることから、幅広い市場で利用されています。用紙への印刷が中心となる一般印刷の分野で進む、小ロット・多品種化の流れは、産業用途市場においても同様であり、今後インクジェット印刷が利用される市場はさらに拡大していくものと思われます。
まず中央に展示されていたのが、リコー製ガーメントプリンタRICOH Ri4000でした。リコーはインクジェット技術の直販においては、商業印刷市場にそのリソースを集約する戦略を採っており、産業用途分野の製品は代理店からの販売がメインとなります。ガーメント分野の製品として、同機は理想科学工業が総販売代理店となっているとのことです。
Ri4000は、ポリエステル、綿素材の両方にプリントが可能なガーメントプリンタであり、エンハンサーと呼ばれる下地処理機能を内蔵、白インクもワンパスで印刷することができるため、濃色基材へのプリントも可能となっています。

また、参考出展としてDTF(Direct to Film)プリンタmR2も展示されました。コンパクトな製品でありながら、幅1600mmのプリントからパウダー塗布、シェイカー、ヒーターまでが一体設計されており、効率的に転写プリントを実現できるようになっています。

スクリーン印刷の分野では、製版工程のフィルム、洗浄、乾燥、乳剤塗布工程を、インクジェット技術のみで一気に仕上げる、インクジェットエマルジョンスクリーン製版機D2Mが参考出展されました。スクリーン版に対して、インクジェットで乳剤を直接描画しながら露光プロセスまでをワンパスで行うことができ、これまでスクリーン製版において必要であった準備工程が不要になるとのことです。

ガーメント印刷の分野では、従来のスクリーン印刷に加え、インクジェット技術を利用したDTG、DTFと大きく3種類の印刷方式が利用されています。それぞれの印刷方式で同じイメージをプリントしてみると、その特徴が良くわかります。濃色基材に対する白の隠ぺい性やグラフィックの発色などにおける品質の違い、また触れてみることでその質感にも特徴があります。どの印刷方式にも良い点があり、苦手な点がありますね。

さて、最後に個人的に最も興味を持ったKitpasという商品を紹介させていただきましょう。あらかじめ製版済みのスクリーンフィルムとインクのセットとして販売されている工作商品で、腕などにもスクリーン印刷をすることができます。もちろん体に害のないインクが利用されています。子供の工作や実験などを通じて印刷技術に触れることもできるのではないかと思います。

それではまた。