2025年5月14日~16日の3日間、科学技術館 1階展示ホール(8・9・10・11号館)にて「ホリゾン・スマートソリューションフェア2025 in 東京」が開催されました。後加工システムを起点として、印刷業界における生産プロセスの自動化で世界をリードするホリゾングループが、Smart Factory Experience~自動化から無人化へ、スマートファクトリーを体験する~をテーマに様々な展示が行われました。
私を含め、皆さんすでにJP展やpage展などの機材展のホリゾンブースで様々な自動化ソリューションをご覧になられていると思います。そこで、ここでは今回のホリゾン・スマートソリューションフェアでパートナー企業との協業を含め、私が初めて見たソリューションを中心にご紹介していこうと思います。ホリゾンが取り扱う自動化ソリューションが幅広いプロセスに拡大していることを是非お感じいただければと考えています。
まず最初にご紹介するのが、自動フォークリフトのラピュタAFLです。これまでAGVやAMRなど自動搬送システムは数多く見てきましたが、いずれも平面を搬送するソリューションでした。今回のラピュタAFLは、フォークリフトの形で4.5mの高さまでの上方までを含めて搬送が可能となっています。前方および後方・上方にカメラを備え、工場図面と空間認識とを組み合わせて自動搬送を行う仕組みとなっています。展示されたのは、オペレータによる稼働も可能なハイブリッドモデルでしたが、完全自動稼働、充電ステーションによる自動充電機能を備えたシステムもあるとのことです。平面だけではなく、段積みやラック格納などを含めた自動搬送が可能です。

同機を開発したラピュタロボティクス株式会社では、自動ピッキングソリューションやピッキングされた梱包物のチェック機能なども提供しています。この自動ピッキングソリューションが面白いのは、ロボットが指示するのはピックアップする商品の棚の位置で、実際のピッキングはヒトがやるという点です。様々な形状や重量をもつ商品をピックアップすることを考えれば、ピックアップはヒトの手で行うのが最も効率的だということです。一方システムは何をするかというと、最短のルートをオペレータに伝え、最も効率的にピッキングを行う環境を提供し、さらにピックアップした商品の検査までを行えるようになっています。自動化は一つの手段であり、何を解決すべきかという目的が最も重要であることを改めて感じる機能だと思います。
続いて見ていただきたいのは、富士機械株式会社の断裁検査装置BCC-1です。三方断裁後の断裁面に角折れや中折れ、また断裁くずが付着していないかをコンベア搬送しながら検査します。天地側、小口側に合計4台のカメラを設置し、フラッシュ光の反射画像から検査を行うもので、不良品の自動排出もオプションとして準備されています。近年の自動化の流れや人手不足が進む中で、印刷時の品質検査などは増加していますが、最終製品への仕上げを行う加工プロセスにおいても、今後こうした需要が高まるものと思われます。

また、製本面では、糸かがり製本のサンプルが展示されていました。かがり綴じ加工は、上製本や無線綴じの本身として利用されますが、ホリゾンではイタリアSMYTH社との協業により、自動製本ラインに糸かがりのプロセスを組み入れていくとのことです。ちょうど同時期に行われているChina Print 2025では、システムアップされた展示が行われているとのことであり、現地でどういった反応があったか気になるところです。出版市場における特殊製本はニッチな分野ではあるものの、読者側からもその需要は高いことから、人手を掛けずに自動処理で製本加工ができることは大きな意味を持つものと考えられます。

そして最後にご紹介するのは紙折り機にインライン接続された自動帯掛け装置Palamides gamma502hoです。製品名の最後についている”ho”はHorizonを意味しており、ホリゾン向けに共同開発がなされた自動帯掛け装置になります。機械本体の長さをコンパクトにまとめ、サイド排出に変更するなど、日本国内での狭い現場でも利用することができるよう様々な改良がなされています。

いかがでしたでしょうか。
展示会場では断裁機から紙折り機、製本機など様々なシステムが展示、稼働していましたが、今回は私が初めて見たシステムを中心ご紹介させていただきました。データ処理、印刷、加工といった主要プロセスの自動化や無人化に注目が集まりがちですが、プロセス間の繋ぎや、その前後にある周辺の細かい作業など、気付かないうちに人手が掛かっているプロセスなども数多くあるのではないでしょうか。今後は、そういった一つひとつの作業の自動化にも注目していきたいと思います。また、上述もしていますが、自動化は一つの手段であり目的ではありません。自動化により何をどう変えるのかという視点で議論することが今後ますます重要になるものと思います。
それではまた。