去る6月下旬、品川ハイデルベルグ・ジャパンのショールームにて同社のDigital Dayが開催されました。2日間で200名を超える来場者が参加されたということで、大変盛況なイベントとでした。
最新の枚葉B3インクジェット印刷機Jetfire 50の実機展示にも注目が集まりましたが、小ロット・多品種化が進む印刷ビジネスにおいて、オフセット印刷およびデジタル印刷をハイブリッドに運用し、プリプレスからポストプレスまでのトータルの製造プロセスを効率化するためのキーとなるワークフローの構築が最も大きなテーマとなっていました。
印象的であったのは、本イベントが製造工程全体の効率化をテーマとしていることもあり、後加工システムを手掛ける、ホリゾン・ジャパンとミューラーマルティ二・ジャパンと共同開催されたことでした。言い方は悪いですが、ハイデルベルグほどのブランド力があれば、他メーカーのシステムを展示したとしても、独自開催の形で実施が可能だと思います。あえて共同開催としたのは、印刷のビジネスが複雑になっていることを表しているのではないかと思います。印刷会社において、手掛ける業務やクライアントの規模、地域特性などは様々であり、求められる製造工程も多様化しています。メーカー1社でその全てをサポートすることは難しく、幅広く技術や知見を組み合わせながら、最適なソリューションを提供していくということではないでしょうか。
それではイベントで展示された内容を見ていきましょう。
会場の中央に展示されたのはJetfire 50ですね。同機は皆さんもご存じのように、キヤノンのVarioPrint iX3200のOEM機ですが、ハイデルカラーに塗装されたモデルを見るのは私も初めてでした。B3サイズが採用されている数少ないモデルですが、欧州のデジタル印刷市場のプレゼンテーションの中であった印刷商材の95%がB3サイズで製造可能という話と、安定して高い生産性が提供される印刷機であることから、トナー方式のPOD機とオフセット印刷機の間を埋める選択肢になり得るのではないかと思います。また、このイベントとは関係ないですが、海外のジャーナリストの試算では、枚葉デジタル印刷機の事業採算性が採れるのはB3サイズまでであり、それ以上の大型機では現状は投資回収が難しいという記事を読んだことがあります。こうした内容もB3サイズを採用する一つの根拠と言えるのかもしれません。
また、Jetfire 50はハイデルベルグのワークフローシステムPrinectと接続されて稼働していました。ハイデルベルグではPrinectを核として、オフセット印刷機とデジタル印刷機を印刷ジョブの特性に応じてハイブリッド運用するPrinect Touchfreeというコンセプトを発表しており、インクジェット枚葉機Jetfireシリーズ、トナーPODのVersafireシリーズも組み込まれていくものと思います。


本イベントの最大のテーマである製造工程全体の効率化については、パネルおよびプレゼンテーションにて説明が行われました。オフセット印刷とデジタル印刷だけでなく、ポストプレスまでの工程を含め、Prinectを中心としたワークフロー制御を行うことで連携、自動化が行えるコンセプトになっています。また、Prinectカスタマーポータルでは、ダッシュボードにおいて、印刷機、加工機のリアルタイムモニタリング、稼働状況分析などができるようになっています。


それでは後加工のシステムについて見ていきましょう。
ハイデルベルグは、2月24日~27日までスイスのルツェルンで開催されたHunkeler innovationdaysで展示された、デジタル印刷・商―トランジョブ向けの後加工システムStahlfolder TH 56 Firelineの実機展示を行いました。ニアラインの後加工システムとして構成されており、断裁、筋入れ、折り加工までを自動制御で行うことができます。

ホリゾン・ジャパンは、後加工システムとして、高度に自動化された無線綴じラインHorizon Smart Binding Systemを実機展示し、サイズの異なる印刷機からの出力であっても、指示に従って自動的にセット替えを行いながら効率的に製本が行われる様子をデモンストレーションしました。また、ホリゾンが考える5段階の自動化ステップについてもプレゼンテーションが行われました。システム化、ロボティクスとの共存を経て、現在は3段階目となる自動化から無人化へのステップにいるとのことです。そしてこの先は、無人化との共存を経て、人の役割を改めて考えるという最終ステップに向かいます。モノづくりを行っていく中で、自動化、効率化が一つの重要なテーマであるとともに、最終的には私たちが何をすべきかを考えていくというメッセージになっています。個人的には、改めて考えさせられるテーマであると感じています。


最後にミューラーマルティ二・ジャパンの出展です。同社は昨年のdrupa、本年のHunkeler innovationdaysで出展した2つの連携システムのパネル展示ならびに、プレゼンテーションを行いました。Hunkeler innovationdaysでは、ハイデルベルグJetfire 50と連携した自動製本ラインとなっています。


それではまた。