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VMIコラム

「印刷物」と「プリントメディア」

 印刷会社の主要な取扱商品は、言うまでもなく「印刷物」である。
 では、印刷物の役割とは何かと訊くと、ほとんどの方が「情報伝達のため」にあるという。
 そう、それは身の回りにある印刷物を見てみると明らかであり、我々は毎日印刷物から様々な情報を得ている。新しい商品やサービス、イベントの情報をはじめとして、自治体からの通知なども重要な情報である。そして、そういった情報をもとに、様々なことに興味をもったり、商品の購入などの行動を起こすことにつながっているのである。

  

 情報伝達のための媒体には「メディア」という言葉が一般に使われている。
 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌がマスメディアと呼ばれ、長くその役割を担ってきた後、近年のインターネット環境の普及や、カメラ付き携帯やスマートフォンの保有率が上がったことによりオンラインメディアへと移行してきた。さらに、個人が情報発信の担い手となることができ、強力な拡散力を有するSNSを利用したソーシャルメディアは、新たな情報伝達のメディアとして、その重要性が高まっている。

  

 このように考えてみると、「印刷物」とは何かという問いの一つの答えとして、「印刷技術を利用したメディアの一つ」であると表現することができる。インターネットあるいはオンラインを通じたメディアと基本的には同じ土俵の上に乗っていると見ることができる。オンラインメディアが印刷物の対立軸として位置付けられることもあるが、その役割を考えてみれば、方法論が異なるだけで、同様の役割を担っているものである。

  

 さて、メディア(media)とは、中間という意味を表す英語のmediumから派生したと言われる。サイズ表記でのSMLで中間に入るのがM(medium)であるように、メディアとは情報の発信者と受け手との間(中間)に入って、その情報伝達の役割を担う媒体ということになる。新商品や新サービスの情報をメーカーが消費者に伝える、ショップがセールやイベントの情報を会員に伝えるなど伝達される情報には様々なものがある。もちろんチラシやDMなどの印刷物もメディアとして利用されている。

  

 そしてメディアの真の役割とは、このように情報を伝達することで、求められる、あるいは期待される効果を上げるということではないだろうか。新商品や新サービスの情報は消費者の興味を喚起し、問い合わせや購買へとつなげることが求められ、セールやイベントの情報は集客を通じて売上を上げることが期待される。どんなに情報が伝達されたとしても、効果がなければメディアとしての役割を果たしたとは言えない。印刷物であろうがオンラインであろうが、期待された効果が得られなければ、そこに価値はない。印刷産業が取り扱う印刷物の役割が「情報伝達のため」であるというのであれば、一つのメディアとして、これまで以上にその効果や価値という側面を考えていく必要があるのではないだろうか。

  

 私も含めて、多くの印刷業の方が「印刷物」という言葉を使う。「印刷物」と呼ぶと、モノという意識が高くなるような気がしている。高品質でミスのないモノを作るということは製造業にとって大変重要な視点ではあるが、印刷物が一つのメディアであるということを考え合わせれば、それ以上に効果のあるメディアを創るという視点を持ちたいと考える。
 そういった意味で「印刷物」を「プリントメディア」と表現したいと個人的には切に想う。

  

                                            YM