「POD最新市場動向メルマガ」第6号バックナンバーのご紹介!

2011-11-01

10月18日(火)発行の第6号のバックナンバーのご紹介。

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2011年10月18日発行 【第6号】
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皆様こんにちは。バリューマシーンの宮本です。
何やら真夏日があったりと天候が目まぐるしく変わりますが、お体大丈夫で
しょうか。季節の変わり目ですから体調にはくれぐれもお気を付けてください。

さて、IGASでは連帳インクジェット印刷機の出展が目立ちましたね。
展示会後の報告セミナーで講演のご依頼などいただきますが、少なからず
インクジェットについてのご質問が出ますので、皆さんにもご興味のある分野
なのだと感じています。

今回は、高速インクジェットを題材としてお話したいと思います。メーカーとか
機種とかではなく、デジタル印刷機の生産性についてのお話ですが。

それでは参りましょう。

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【第6回】 デジタル印刷機の生産性について考えてみた

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1990年代の初頭に登場したデジタル印刷機。
電子写真方式を利用して商業印刷向けに、イスラエルのIndigoからE-Print1000、
ベルギーのXeikonからDCP-1という2機種が発表されました。

E-Print1000はA3サイズを毎時1,000枚出力が可能なモデルで、現在のデジタル
印刷機で利用される出力速度の表現を用いると33ppm(毎分A4換算で33ペー
ジの出力が可能な印刷速度)ということになります。
Xeikon DCP-1もほぼ同じ出力速度であり、現在の機種と比較すると生産性の
低い印刷機であったことがわかります。

当時からデジタル印刷機は、オフセット印刷機と対比されて評価されることが
非常に多かったように思います。もちろん一番の違いは、無版であることから、
1枚ずつ異なる画像を出力できるという点ですが、これ以外にも品質(解像度な
ど)、生産性(出力速度)、コストなどで比較されてきました。

しかし、これら比較される項目の中で、これまで生産性だけはあまり明確に計
算されてこなかったように思います。これは、オフセット印刷機は大量印刷に、
デジタル印刷機は小ロットという意識が高かったこと、さらに冒頭でお話したよ
うに、33ppmという当初の機種の印刷速度は、オフセット印刷機とは比較になら
ないほど低速だったためでしょう。

例えば、最も利用されているオフセット印刷機の生産性を同じ尺度で見てみま
しょう。菊半裁(A4サイズ8ページ)機で毎時8,000回転で印刷を行うと、1時間当
たりの生産量は、8×8000=64,000ページになります。これを1分間に直してみる
と、64,000÷60=1,067となります。つまり1,077ppmですね。

電子写真方式では、65ppm、100ppmと年々その生産性を上げ、現在のハイエ
ンドモデルでは120ppmを超える機種も登場しています。広幅の機種などでは、
250ppmを超える機種もあり、実に7倍以上の生産性になっているほどです。
それでも、オフセット印刷機とはその生産性を比較できるほどではなく、その
部分で語られることはあまりないのが現状です。やはりオフセット印刷の生産性
は高いという認識が根付いているのでしょう。

一方、近年のインクジェット技術の進展は目覚しく、ラインヘッドを利用した高速
のモデルが多数発表されています。主流は用紙幅20インチ前後の輪転タイプで
しょうか。用紙搬送速度は75mから始まり、最近ではフルカラーで200mという速
度で印刷可能な機種も登場しています。

もちろん品質や利用可能な用紙の種類などを加味すれば、オフセット印刷と直
接比較するものではありませんが、この20インチ、200mというモデルでの生産
性を、上記の計算と同様に算出してみましょう。

まず、20インチ幅ですからA4サイズが2ページ並びますね。送り方向はざっくり
ですが、3枚のA4シートで1mになるとしましょう。つまり20インチ×1mの用紙に
A4サイズが6ページ取れることになります。さあ、これを毎分200mで搬送すると、
1分間あたりの生産性は6×200=1,200となり、1,200ppmになります。

どうでしょうか。面白いことに、このくらいの仕様になると、インクジェット印刷機
の生産性は菊半裁のオフセット印刷機に匹敵するのです。もちろんデジタル印
刷機ですから、全く異なる画像やテキストを印刷することができるというのは言う
までもありません。

デジタル印刷機が生まれてから20年弱、オフセット印刷は高生産性、大量印刷
向け、デジタル印刷は小ロット向けという認識で捉えられてきたと思いますが、
印刷技術の上では(利用できるかどうかは別として)、デジタル印刷の生産性は
オフセット印刷に匹敵するものとなりつつあります。

すなわち、これまでオフセット印刷市場や商業印刷市場とデジタル印刷市場が
区別されてきたという歴史は、これから変わっていくかもしれません。前回の
メルマガで北米と日本でのデジタル印刷機の販売台数に大きな開きがあること
をお伝えしましたが、こうした現状を様々な視点で考えていく必要があるでしょう。

それではまた次号にて。

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【編集後記】
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第6号いかがでしたでしょうか。
デジタル印刷が市場投入された当初からこの業界にいる者としても、今まで
生産性について真剣に考えたことはありませんでした。デジタル印刷にはデジ
タル印刷の良さがあり、それを訴求していくことがビジネスに繋がると考えてき
たからです。つまり、比較すべきものではないと。

しかし、改めて算出してみると、生産性という指標でもデジタル印刷機が一定
のレベルに到達する可能性があることがわかります。これまでは比較すること
がデジタル印刷に不利に働く要素であったものでも、技術の進展によって、
同じ土俵で議論が可能なレベルになってきたものもあります。

改めてデジタル印刷の利用可能性を考えていく時期なのかもしれません。

それではまた次回お会いしましょう。

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発行責任者&発行人: 河島 弘司
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