コラム No.1【2012.4.27】

デジタル印刷はB2サイズに何を求めるのかー

誰がB2サイズを求めているのかー

drupaの出展内容が発表される度に、今回のdrupaは商業印刷向けのデジタル印刷機がB2サイズへの移行が進んでいることが分かる。drupaのニックネームも、Inkjet drupa(再度)、B2 Digital drupa、Cloud drupaや、中にはLanda drupaなどと呼ぶ方もいるが、個人的にはB2 Digital drupaという名称は的を得ていると思っている。

4年前、富士フイルムと大日本スクリーン製造がB2サイズの枚葉インクジェットを参考出展した時のことを思い出してみると、それは私にとって、大変な驚きだった。発表も、カーテンの中から颯爽と実機が現れ、プレゼンテーションが終わるとまたカーテンの中に入るといった演出を伴うもので、”その凄さ”をアピールしていたように思う。インクジェット技術を利用すると、このサイズでもデジタル印刷でカバーできるのかと感心したものだった。

そして、その時は漠然とこんなことを考えていた。大判にすればもっと多くの印刷物に対応できるのだろうな・・・と。
当時はA3寸伸びサイズ全盛であった。「流通している全印刷物の約40%は仕上がりがA4以下なのだから、A4仕上がりで中綴じまでが可能なサイズがあれば十分である」と普通に言われていたものである。また、半導体レーザーを利用して書き込みを行う電子写真方式では、レーザーの走査距離の問題で、A3サイズが限界であるとも言われていた。そのため一部の機種では半導体レーザーのかわりにLEDの利用が進められていたが、技術的にも、市場的にもA3サイズがデジタル印刷の中核であったのだと思う。

そして現在、B2サイズはすでに当たり前のようになりつつある。
富士フイルム、大日本スクリーンをはじめ、インクジェット方式では小森コーポレーション、コニカミノルタ、MGI、ヒューレット・パッカード(広幅連帳)、Timson(モノクロ広幅連帳)などが参入し、電子写真方式ではヒューレット・パッカード(Indigo)、ミヤコシ、リョービなどから、さらに印刷方式は未発表ながら、インクジェット方式に近いと思われるLanda Nanographic Pressが登場する。恐らく会期がスタートするとさらに多くの機種がお目見えすることになるだろう。

drupa2008の時点で、こうなることはある程度予測できたのだと思う。メーカー側の開発部隊や技術部隊からすれば、連帳インクジェットがどんどん高速化するように、より速く、より高い解像度で、より大きなフォーマットで、というのは自然な流れである。これだけ多くの参入メーカーと機種がある中で、他社より抜きん出た機種の開発を推し進めることを否定することはできない。では、メーカーはB2サイズに何を求めているのだろうか。あるメーカーの担当者は胸を張って言った。「B2サイズがあれば、商業印刷物の約90%近くを印刷することができる。これまでA3寸伸びでは対応できなかった商材を印刷することができるのです」と。当然大きくなるのだから、その通りである。しかし、それ以上のB2サイズに対する明確で積極的な理由はなかった。

できなかったサイズが印刷できる。それはその通りなのだが、私個人としては、できなかった印刷物の中に、デジタル印刷機で「どうしても」印刷したかったものは、果たしてどのくらいあったのだろうかという点が気になる。どうしてもデジタル印刷機を利用したかったが、サイズが足りなかったために断念した商材に対してはデジタル印刷機のB2化は非常に大きな効果をもたらすのであろうが、これを待ち望んでいる人や商品はどのくらいなのだろうかということである。本コラムのタイトルにもある「誰がB2サイズを求めているのか」ということなのだ。

一昔前には、「”プロダクト・アウト”ではダメで、”マーケット・イン”で物事を見よ」と良く言われたものである。どんな製品もあれば売れるというものではなく、市場(マーケット)から求められているかどうかがポイントであり、マーケットの視点で製品を見なくてはならないと教えられた。そういう意味でもB2サイズがマーケットから求められているものなのかを見極めたいものである。あるメーカーはB2枚葉インクジェット印刷機を「技術展示」としているが、これは「まだ製品ではありません。販売するかどうかも分かりません。皆さんはこの製品についてどう思いますか?」と問いかけているのだと思う。実際にマーケットの反応を確認するための出展なのである。

B2 Digital drupaと呼ばれるかどうかは分からないが、B2サイズのデジタル印刷機については、「誰が求めているのか?」「どこで、何に利用されるのか?」を問いかけながら見たいものである。

Copyright(c) 2011 Value Machine International Co,ltd. All Rights Reserved.